南極観測50周年「記念講演会」の報告

南極観測50周年記念事業委員会では、以下の3つの講演会を企画いたしました。
これらの講演会は、多岐にわたる南極観測事業を、三つの切り口から眺めてみようという試みです。南極観測事業のほんの一角ではありますが、南極観測を通して得られた知見や成果等をお伝えすべく企画し、各講演会とも一般公開(無料)としました。

『南極観測を支えた船物語』(2006.11/8)

 南極観測に歴史があるように、南極観測を支えた船にもまた歴史とドラマがあります。船は縁の下の力持ちとして影ながら南極観測を支えてきました。人や荷物の運搬をはじめ、船上観測、船相互の連携、時には寄港地での国際親善など多岐にわたります。「宗谷」、「海鷹丸」、「ふじ」、「しらせ」は、活躍した時代もその大きさも異なりますが、普段耳目にしないそれぞれの船のご苦労や秘話を物語ってもらいました。

  開催日時:平成18年11月8日(水)13時30分〜15時20分
  会  場:船の科学館 1階 オーロラルーム(一般公開)
  司  会:桜林美佐 さん と 小野延雄(国立極地研究所名誉教授)

  演  題:
  1.『南極観測船”宗谷“』 高尾 一三(元「宗谷」第1〜3次三席航海士)

  2.『“海鷹丸”と南極観測』 林 敏史 (現「海鷹丸」次席一等航海士)

  3.『“ふじ”から“しらせ”へ』久松 武宏(元「ふじ」船務長・元「しらせ」艦長)

『南極の動物たち』(2006.11/19)
(見えてきたペンギン・アザラシの水中生態)

ペンギンやアザラシは陸上で繁殖活動をしていますが、一方で水生にも高度に適応しています。陸上での生活は直接観察ができますが、水中では観察が困難で、その行動や生態はほとんど分かっていませんでした。水生適応を果たしたのは水中の豊富な餌を採るためと考えられていましたが、実際水中のどこで、何時、どうやって餌を採っているかはほとんど不明でした。そこで新たに小型記録計を開発し、動物に装着して行動を測ったところ多くのことが分かってきました。この餌採り行動などについて紹介していただきました。

  開催日時:平成18年11月19日(日)13時開演
  会  場:日本科学未来館(一般公開 主として小・中学生対象)
  司  会:国分 征(元名古屋大学太陽・地球環境研究所所長) 

  演  題:
  1.『アザラシの話』 三谷曜子(日本学術振興会特別研究員(東京工業大学))

  2.『ペンギンの話』 内藤靖彦(21次隊隊員、27次観測隊長、国立極地研究所誉教授)

『南極観測の50年』(2006.12/16)

わが国の南極観測は50周年を向かます。観測の始まりの苦難多き時代、とその後のこれも決して楽ではなかった50年の歴史を、観測や観測を支える設営などのオペレーションからみて振り返ってみます。気象、地磁気、極光、夜光、地震、重力など継続的行ってきた定常観測の変遷やその成果、そして、これらの50年の観測に基づいて構築した世界に誇るわが国の南極観測の現状についての講演です。

  開催日時:平成18年12月16日(土)13時30分開演
  会  場:東京都千代田区 一ツ橋講堂(一般公開)
  司  会:星合 孝男(元国立極地研究所所長) 

  演  題:
  1.『南極観測事始め』 小口 高(1次隊隊員、12次観測隊長、東大名誉教授)

  2.『南極観測オペレーションの50年』 川口貞男(2次隊隊員、26次観測隊長、国立極地研究所名誉教授)

  3.『定常観測の50年』 松原廣司(21次隊隊員、46次観測隊長、東京航空気象台長)

  4.『南極観測の今』 藤井理行(18次隊隊員、37次観測隊長、国立極地研究所長)